20年以上前のMTBのBBにガタつきがあるという事で、お預かりしました。

写真中央。ペダルが回転する根元の部分を『BB(ボトムブラケット)』と言います。
当初は、緩んでいる部品の増し締めとグリス(潤滑剤)を入れてやれば直るだろうと思っていたんですが、分解してみると……


中に水が溜まっていました。部品が酷く腐食しています。写真は少し綺麗にしていますが、分解した時は、グリスと水が溶けあってドロドロな状態でした。
原因は、フレームに水が抜ける穴が無かったのがいけなかったんでしょう。フレームに侵入した水が抜け道を失って、ハンガー内部に溜まってしまったんですね。
話を戻します。

写真はシャフト芯です。腐食が酷いです。それだけじゃなく、ベアリングが当たる部分がボロボロの虫食い状態になっています。この部品はもう使えません。交換するしか道はありません。
ですが、ここで問題が発生しました。このBBシャフト芯、一種類だけじゃなく、何種類も存在するんです。問題なのはココ。これと同じ部品は、もう作られていないんです。
昔からやっている自転車屋さんなら、もしかしたらまだ補修用に在庫しているかもしれませんが、開業して2年未満な僕は当然持っていません。
そうなってくると、残る手は一つ、

現在のスポーツ自転車に使われている『カートリッジ式BB』に交換することですが……、ここでまたしても問題が。このカートリッジ式もサイズごとに種類があり。この自転車に適合するサイズ『シェル幅73mm 軸帳127mm』は、すでに廃番になっているのです。
ためしにワンサイズ小さい物を取り付けたところ、見事に撃沈しました。左クランクがフレームに接触します。軸帳が足りません。
さてどうするか。もうこうなったら力技しかないな。ここからは、完全に専門的なことになりますが、『シェル幅68mm 軸帳127mm』に『73mm対応のアダプター』を取り付けることにしました。
見た感じ、73mmと68mmのカートリッジはほとんど同じ物のように見えます。メーカーさんに聞いた訳ではないので、微妙な差異はあるのかもしれませんが、アダプターで調整してやればいけると判断しました。
結果----上手くいきました。そして、写真撮り忘れました。不覚なり。
もう一つ問題だったハンガー内の水の逃げ道は、ハンガーの底に穴を空けることで対処しました。これまた力技です。
終わってみれば、初めから締めまでなんとか押し切ったといった感じです。
自転車はこの後、ヘッドとホイールのグリスアップ。ブレーキパッドに取りついた泥・削れたリムの破片を除去して、無事にお客様にお渡しできました。
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