修理・ブレーキ

2015年3月29日 (日)

整備不良

よくある整備不良をご紹介したいと思います。『残念ながらよくあります。』

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問題の部分は矢印の部品です。ブレーキシューと呼ばれる部分になります。

このブレーキシューは左右に一つずつあり、左右対称になっています。左右から車輪を挟み込む事によってブレーキがかかるという仕組みになっています。

それを踏まえてうえで写真を見てみると、ブレーキシューの位置が斜めにずれており、しかも車輪の制動面から下側がはみ出てしまっています。

ブレーキシューの本来の位置は、大雑把に言うと制動面からはみ出さず平行に取り付けられていなければいけません。正しい位置に取り付けられていないと、新車の頃は問題なくても、のちのち問題が浮き彫りになってきます。最悪なケースでは、タイヤを切り裂いてしまったり、ブレーキが動かなくなったりします。

間違いなく断言できますが、これは買った時からの整備不良です。販売したお店が、適当なお店だったのでしょう。

この自転車には『BAA』のマークがついていました。

最近よくテレビのCMで流れていますね。BAAの自転車は安全安心と宣伝されています。

ですが、勘違いしてはいけません。BAAは自転車の『品質』に対する安全基準をクリアしているだけで、『誰が組み立てた』とか『誰が点検して販売した』というのは一切考慮されていません。

つまり組み立てた人と点検して販売する人がいい加減であれば、BAAマークがついていても安全性など微塵も無いということになります。

記事の初めに『残念ながらよくある』と書きましたが、ブレーキの整備不良は本当に多いです。BAAであろうがなかろうが関係なくです。

それだけ自転車がいい加減に販売されているということだと思います。悲しくなりますね。

BAAは無意味だとまでは思いませんが、他にも考慮するべき部分はあるだろうし、BAAだから安全と言うのは間違っていると思います。

2015年3月26日 (木)

細かい事

本日修理した自転車で、細かい事ですが少し気になったことがありました。

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写真は自転車に乗った状態で撮影しています。

気になるのは矢印の部分。明らかにワイヤーの長さが合っていません。無理やり取り付けているため大きく弧を描いて膨れ上がっています。

問題のワイヤーは、三段変速機のシフトワイヤーです。

このタイプの物は長かったら切って短くするという事が出来ません。何種類か長さが違う物が市販されているので、その中から適切なサイズを選んで取り付けることになります。

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取り付けられていたワイヤーのサイズが書いてありました。見にくいですが1650mmと書かれていました。やっぱりサイズを間違えていますね。1650mmはアップハンドル用の物です。

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こちらがアップハンドルです。ハンドルが途中で曲がっている分、長いサイズの物が必要になります。

写真の自転車のハンドルは、曲がらず真っ直ぐなストレートハンドルなので、本来の適合サイズは1520~1560mmが正しいサイズになります。

この自転車に関しては、サイズが違っていても特に機能的な不都合は一応ありませんでした。ただ見た目が良くないだけです。

販売した時点ではこのような問題は起きないでしょうし、たとえ起きても気付くと思います。おそらくブレーキワイヤーに比べてシフトワイヤーは新しかったので、シフトワイヤーを交換する修理をしたのだと思います。

適合するサイズの在庫が無かったのか、見た目を気にしない人が修理したのかは判りませんが、個人的には見た目も大事だと思うので、雑な修理だなと思います。

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つい先日まで雪がチラついていましたが、何気なく地面を見てみると土筆が生えていました。

春と言えば桜やタンポポ。植物を観察してみると季節の移ろいを、より感じることが出来ますよね。

 

2015年2月 4日 (水)

ブレーキ外れ

富山市まで出張してきました。

左側のブレーキが効かないそうです。

左側ということは、一般的には後輪のブレーキになります。

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見た瞬間に原因が判明。ブレーキアウターがブレーキレバーから外れています。これではブレーキは作動しません。

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青い矢印の部分を、赤い円の中の穴に収まっている必要があります。

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修理完了です。これでブレーキが作動するようになりました。

このタイプのブレーキレバーは、自転車を倒したり、ブレーキワイヤーを何かに引っかけて引っ張られたりすると、簡単に外れてしまいます。駐輪場に止めておいたら、他の自転車のハンドルに引っかかってというパターンが多いですね。

品質のグレードが高いアルミ製のブレーキレバーならば、外れにくい構造になっているのですが、これはプラスチック製で値段の安いブレーキレバーだから仕方ないと言ってしまえばそれまでですが、もう少しなんとかならないのかと思ってしまいます。

今回のケースでは、また外れる可能性があるので、お客様には特別に対処法をお伝えしています。

2014年11月25日 (火)

取り付け不備

高岡市二上まで出張修理。

パンク修理でしたが、それ以外にも、前ブレーキに不備があったのでそこも修理しました。

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写真は問題のあったブレーキシューです。

ブレーキシューは経年劣化で硬化してしまい、使えなくなるということもありますが、基本的には山が残っていれば大丈夫ではあります。

このブレーキシューは、パッと見た感じ凸凹の山が残っているのでまだ使えそうです――が、裏返してみると……、

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御覧の通り、変な風に削れてしまっています。アルミリムであれば、通常はこのような削れ方はしません。ほぼ均等に削れていきます。

こうなった原因はブレーキシューが正しい位置、適切な角度で取り付けられていなかったからです。

大方、工場で流れ作業で仮組みされた物を、販売責任者がろくに整備・調整もせずに、お客様に渡してしまったのでしょう。完全に売り手側のミスです。

しかも恐ろしいことに、ブレーキがこうなっている自転車は珍しくありません。はっきり言うと、安い自転車ほど整備がいい加減になっている傾向があるように感じます。

一度、自分の自転車の前ブレーキが、写真のようになっていないかをチェックしてみて下さい。最悪、ブレーキがロックしたり、タイヤを傷つけてしまうことになりかねません。おかしかったらすぐに自転車屋さんに見てもらいましょう。

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多分、二上山かな。曇っていてあまりいい風景とは言えませんね。

先日までいい天気が続いていましたが、一気に気温が下がりました。紅葉ももうすぐ終わり、冬が近づいています。

2014年11月 1日 (土)

ビアンキ 24インチ MTB

いつもお世話になっているN様の愛車をお預かりしていました。

ビアンキの24インチMTBです。

今回ブレーキ一式とシフトワイヤーを交換しました。

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ブレーキはお客様がオークションで手に入れたDeoreXTクラスのカンチブレーキに換装。安価なクラスと違って、作りがしっかりしていているので剛性が高そうです。

ブレーキアウターとシフトアウターは、フレームと同色の『チェレステ』に変更しました。

ビアンキと言えばこの色ですね。とても綺麗な色です。

カンチブレーキの調整は何度やっても手こずります。今回も納得いく感じに仕上げるのに時間がかかりすぎました。お客様には申し訳ないですが、現状、カンチブレーキの調整は持ち帰っての作業にならざるをえません。

この自転車は24インチとフレームサイズが小さいので、分類的にはJr.MTBになるのだと思いますが、持ち主の方は小柄なので、このサイズの方が乗りやすそうです。そこその大柄な僕には、かなり小さかったです。

N様、お待たせして申し訳ありませんでした。時間をかけた分、いい感じに仕上がっているので許してください。

2014年10月17日 (金)

無駄を排除

本日は当事務所での作業。

タイヤの前後交換、ブレーキワイヤーの交換、総合整備と時間がかかりそうだったので、お預かりして事務所まで持ち帰ってきました。

タイヤ交換を終えて、整備もブレーキ部分のみとなったので、今回はブレーキワイヤーの交換を紹介したいと思います。

交換するのはこちらの自転車。

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写真は交換する前のものです。注目すべきはブレーキワイヤーの長さです。はっきり言って無駄に長いです。ワイヤーがライトの正面を横切って邪魔していますし、見た目がかなり野暮ったいです。あと、細かいですがブレーキレバーの角度が左右で違うのが個人的に気になります。

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後輪側のブレーキワイヤーです。やはり長すぎます。

ブレーキワイヤーが長いと何が悪いのかと言うと、まず前述した見た目ですね。美しくありません。あと、長くて不自然な弧を描くとブレーキの引きが重くなります。

という訳で、新しく交換するブレーキワイヤーは、長すぎず適正な長さにして取り付けていきたいと思います。

そして、こちらが出来上がりになります。

交換後。

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参考までに、交換前。

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後輪側交換後。

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交換前。

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お判りいただけたでしょうか。無駄に長かった部分はカットして、不自然な弧を描いていたのを解消しています。ライトの正面も障害物が無くなりました。ついでに左右のレバーの角度も揃えました。

見た目的にもシャープになって綺麗になったと思います。ブレーキの引きもグリスアップした効果もありますが、格段に軽くなりました。

ブレーキの引きが重いと感じたら、ブレーキワイヤーの取り回しを見てみてください。無駄に長くないですか?

おまけ――小さなお客様来訪。

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んん?

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おっ?

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おおっ!?

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おおおっ!!?

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来店して一分足らずで退店されていきました。またのお越しをお持ちしております。



2014年8月10日 (日)

消耗品です

高岡市での作業です。

パンク修理のご依頼でしたが、チューブが再利用できなかったためチューブ交換になりました。

作業完了後、いつも通り、一通りの点検を行っていると前のブレーキに異常を見つけました。

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写真の中心に写っているブレーキシューが摩耗して擦り減っていました。

お客様にお伝えし、交換することになりました。まず取り外します。

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アップで見てみます。

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かなり削れてしまっています。前のブレーキはこのブレーキシューがホイールを左右から挟み込む事で、制動力が働きます。

そのため使っていると、どんどん削れていきます。

削れ過ぎると金属の台座が露出してきて、ホイールを傷つけてしまいます。対処が遅くなると最悪ホイールが割れてしまいます。そうなる前にブレーキシューを交換しなければいけません。

写真を見ると判りますが、削れかたが歪です。これは組み立てた時に、ブレーキシューの取り付けが方が適当だったからです。

リムに正確に当たっていれば、こんな削れかたはしません。あまりにも酷いとタイヤを削ってしまうことだってありますし、ホイールがロックされて急制動がかかったりします。

こういう細かい部分でも、組み立てた技士の技術が見て取れます。

それに何度か修理した形跡があるのに、その時に直してもらえなかったのでしょうか? 疑問が残ります。

ちなみにこのブレーキシューは使用するホイールの材質によって種類がいくつかあります。ステンレス用、アルミ用、プラスチック用、斜めになったリム用にブレーキシューも斜めになった物などスポーツ車も含めるとたくさんあります。

間違えないためにも自分で変えようとせず、信頼できる人に任せた方が確実な部分です。

2014年6月30日 (月)

気分の問題かもね

高岡市からのご依頼。

後輪のタイヤ交換でお伺いしました。

さくっとタイヤを交換してから、仕上げに全体の点検作業をしていると、

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ブレーキワイヤーの取り回しが、『自転車屋 うらちゃん』基準では間違っています。

何故おかしいのか解説させていただきます。まず、写真の右側から伸びているブレーキが、前のブレーキ。左側から伸びているのが、後ろのブレーキに繋がっています。

注目していただきたいのは、写真中央2本のワイヤーが交差している部分。後ろのブレーキが前側にきて、その後ろに前のブレーキがきて交差しています。書いててややこしいですね。

正しい配置は、前のブレーキが前側にきて、その後ろに後ろブレーキが交差するのが自然な順番になります。

ブレーキは、ワイヤーの長さが長すぎたり短すぎてもダメ。取り回しを間違えると、ブレーキを握った感じが重くなったりする、デリケートな調整が必要になります。

と、ここまで偉そうに書いていますが、実はこれが正解なのかは確証がありません。

同業者に『どうなの?』と聞いたことがありませんし、写真の自転車の場合、前後を逆にしたくらいではまったく影響は無いと思います。

ただ、新車として展示されている自転車の多くは、僕の言った通りになっています。また、この自転車は変速が無いので、シフトワイヤーが伸びてはいませんが、写真にシフトワイヤーが追加されれば、僕の主張する配置の方が、自然に見えるはずです。

というわけで、これが正解かは判りませんが、『自転車屋 うらちゃん』基準では、気持ちが悪いので、ついでに直しちゃいます。

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ハンドルを抜きます。ハンドルポストにグリスが塗られてないので、ついでに塗っておきます。錆びたら抜けなくなりますよ。前輪のセンターもずれてるし、全体的に組み方が雑です。

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はい、『自転車屋 うらちゃん』基準に直しました。あー、すっきりした。

タイヤ交換してもらったんでサービスです。というか、お客さんに何も言ってないな。

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