自転車という乗り物

2015年5月23日 (土)

シティ車のオーバーホール

珍しいですが、シティ車のオーバーホールです。

スポーツ車では当たり前のことですが、シティ車でオーバーホールの依頼が入るのは非常に珍しいですね。

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分解して、可動部の潤滑剤をすべて入れ替えている作業中です。

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分解作業になるので、同時に消耗部品、ブレーキ関係やチェーンを交換していきます。

また、消耗部品ではありませんが、お客様はクランクの赤錆が非常に気になるそうです。

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なので、クランクの素材を鉄からアルミの物に交換しました。

アルミでも錆びない訳ではありませんが、白っぽく錆びるので赤錆のように汚らしくはなりません。

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オーバーホール完了です。外見には細かい錆や汚れがありますが、中身は新品以上によく走るようになりました。

オーバーホールはそれなりに値段がかかるため、元が高額なスポーツ車と違って、シティ車に万単位のお金を払うのならば、新車を購入すると考える人が大半です。

実際、自転車の状態や、使われている部品の入手が可能かどうかによっては、新車を購入したほうが良い事もありますし、そちらを勧めることもあります。

それでも、長く乗っていて愛着があるという方も勿論いらっしゃいます。

そのためならば、出来る限りのことをさせていただいております。

2015年2月23日 (月)

三輪自転車について

メールで先日の三輪自転車について質問をいただきました。せっかくなので記事にしてみます。

質問内容は『高齢者に三輪自転車はどうなのか?』

高齢になったため、タイヤが2本の普通の自転車では転倒しそうで心配。三輪自転車なら転倒の心配は無いのではという質問でした。

質問の答えを先に言うと、三輪自転車でも普通に転倒します。カーブを曲がりきれずに転倒することが多いですね。

三輪自転車は挙動がすごく独特です。慣れや練習が必ず必要になります。三輪自転車にはスイング機能といって、車体が左右に傾く機能があります。これはカーブを曲がる際に、重心が移動して曲がりやすくするための機能です。

初めのうちは三輪自転車に慣れるためにスイング機能が働かないように固定するのですが、スイングを固定しているとすごく運転がしずらいです。特にカーブはかなり曲がりずらいです。そして曲がり損ねると転倒します。

慣れてくればスイングの固定を解除します。これでカーブが曲がりやすくなります。それでも慣れと練習は必要です。スピードは歩くぐらいの速さで走らないと転倒します。高速走行は絶対にできません。

悪い事ばかり書いていますが、勿論メリットもあります。

三輪自転車は荷物の運搬に非常に重宝します。後部のカゴ大きいのでたくさんの荷物を載せることが出来ますし、荷物を載せてもフラフラしないので安定して走ることが出来ます。

畑仕事やスーパーでたくさん買いものする方には良いと思います。止まっている状態で転倒という事は無いですから、乗り降りも安心できます。低速で走り、カーブに気を付ければ転倒のリスクも減ります。

以上の事から、もし三輪自転車の購入を考えているのならば、必ず試乗してみてください。多分、思っていた感じとは違うように感じると思います。乗ってみたうえで再度検討することをお勧めします。

僕個人の考えでは、普通の2輪の自転車が乗れて特に大きな不都合が無いのであれば、2輪でタイヤのサイズが小さい自転車の方が良いと思います。

最後に小技をひとつ。

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今回話題の三輪自転車の泥除けに付いているフラップという部品です。破れていてかろうじて付いている状態ですね。部品を交換すれば良いだけですが、今回はお金をかけずに直したいと思います。

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まず部品を外します。

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次に破れた部分をカットして、新しく穴を二つ開けます。

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再び取り付けて修理完了です。少し短くはなりましたが、これくらいなら立派に役目を果たしてくれるでしょう。心ばかりのサービスと思い、無償で修理させていただきました。

2015年2月14日 (土)

良い自転車屋? 悪い自転車屋?②

前回の続きです。

http://zitensyaya.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-2141.html ←前回

結論から言うと、この自転車屋さんは『良い自転車屋さん』ではないかと僕は思っています。

『自転車の扱いが悪い、空気を入れていないからパンクする。扱いを改めないと、またパンクを繰り返す』と説教された。

件の悪い自転車屋になってしまった原因の言葉です。これは解釈を変えてみれば、お客様にパンクの原因を伝えていて、かつパンクをしないようにする方法を教えてくれているんですよね。

この自転車屋さんが、どんな風に説教したのか? もしかしたらかなり威圧的に説教したのかもしれない。当事者ではないので判りませんが、言っていることは正しいことを伝えていると思います。

これは個人的な考えですが、もし自分が自転車の修理を他人にお願いし、修理が完了して引き取りに行った時に、

「修理が終わりました。代金は○○円になります」とだけ言われるよりも、

「修理が終わりました。○○の部分が壊れていました。部品を交換したので代金は○○円なります。故障の原因は○○である可能性があります。こうすれば再発を予防できますよ」言ってもらった方が、僕は信頼できます。

人によっては、前者のような対応を好む方もいらっしゃることは否定しません。初めに行ったようにこれは僕の考えです。

この自転車屋さんも、多分言い方が悪かったのでしょう。下手に出ろとは思いませんが、いきなり説教するのはダメです。でも、注意するのは間違ってはいないと思います。

『過程が良くなかったせいで、良い結果が悪くなってしまった』この言葉がぴったり当てはまると思います。

お客様からは、本当に理不尽な話も聞いたりしますが、中には今回のように解釈を変えてみれば悪い事じゃないよという事もあります。

良い自転車屋か、悪い自転車屋かは、人それぞれの解釈で変わってくると思います。それでも、その場限りではなく、後の事までお客様の事を考えてくれている自転車屋さんは、良い自転車屋さんと言っていいのではないでしょうか。

当店も良い自転車屋さんと評判になるよう、がんばって参ります。

写真が無いと何か寂しいので、

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たまに来店させるお客様です。

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でも、いつもすぐに退店されます。冷やかし大歓迎なんですがね……。

 

2015年2月11日 (水)

良い自転車屋? 悪い自転車屋?①

以前あった事ですが、ちょっと考えさせられることがあったので書いてみようと思います。古い話ですがお付き合いください。

僕は出張修理という性質上、色々な地域で修理をしています。大体は、近場に自転車屋が無い所に良く行きますが、近場に自転車屋がある所にも呼ばれない訳ではありません。

その時お伺いした場所もすぐ側に自転車がありました。本当に近くに。

あまりに近かったので、何故そこの自転車に持って行かなかったのか、お客様に世間話がてら軽く訊いてみました。

大抵の理由は、単純にその自転車屋が嫌いだったり、自分のお店で購入した自転車しか見てくれないといった事です。その時も、そんな理由だろうなと思っていたのですが。

お客様曰く『以前、子供がその自転車屋にパンク修理に持って行ったら、直してもらったけど怒られて帰ってきた』とのことでした。

何故、怒られたのか訊いてみたところ『自転車の扱いが悪い、空気を入れていないからパンクする。扱いを改めないと、またパンクを繰り返す』と説教されたそうです。

それ以来、お子さんは自転車屋が嫌いになったしまったそうです。この自転車屋さんは、お客様にとって悪い自転車屋さんになってしまいました。

この話を聞いた時、僕はお客様に共感は出来ませんでした。

えー、それはどうなんだろうと、心の中では首を傾げていました。勿論、顔にも態度にも出しませんでしたが。

何故、僕は共感できなかったのか? この自転車屋さんは悪い自転車屋なのかは、長くなるので次回にお話ししようと思います。

あまり愉快な話でもないので、癒しを一つ。

高岡市古城公園まで修理に行った時の写真です。

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おわかりいただけただろうか? ……何かいます。

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UP。かなり和んでます。まずい、現場に急がねば。

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そして修理の帰り。か~な~り和んでいたので、降りられない心配はしていませんでしたが、ちゃんと降りられているのが確認できて安心しました。

2014年11月29日 (土)

取り忘れ

どんな修理であっても終わった後には、一通りの点検を行っています。

本日、点検中に気になった部分がこちらです。

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丸で囲んだ部分。ペダルの根元に何かがあります。

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これの正体は、ペダルを取り付けた際に出てくる金属片です。

ペダルをネジ穴に締めこむことで、クランク部分の金属が削れていき、削れた部分が写真のように露出してきます。鉛筆削りを想像してみて下さい。鉛筆がペダルで、削りかすが金属片です。

こちらの金属片、鋭利に尖っており刺さるとかなり痛いです。深く刺さるので血もなかなか止まりません。

刺さると非常に危ないので、ペダルを取り付けた際には必ず除去しますし、販売時にはこの部分を必ずチェックします。

……するはずなんですが、写真に写っている通りがっつり残っていました。

自転車販売時の整備チェック項目には、ペダル取り付けの項目もあるはずなのですが、この自転車を販売した責任者は一体どこをチェックしたのでしょうか。

少なくてもペダルを付けた時と販売した時。最低2回はコレに気が付くチャンスがあったと思います。

人が乗るのだから、安全に乗ってもらうためにも、しっかりチェックはしないとダメでしょう。

2014年11月23日 (日)

記念写真

いつもお世話になっているN様から、愛車とのツーリング写真をいただきました。

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光の加減で残念ながらよく見えませんが、立山連峰をバックに三千坊山で記念撮影されたそうです。

自転車は少し前に、ブレーキの全換装、全ワイヤー・アウターの交換、ホイールの振れとり、変速の不調の修理などを行ったビアンキのMTBです。

http://zitensyaya.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/24mtb-c316.html ←その過去記事です。

N様オリジナルのステッカーとドロップ型のエンドバーが追加されていますね。

いつもながら自分が手を入れた自転車の近況を教えてもらえるとすごく嬉しいです。走りにも満足いただけたようで本当に良かった。

富山は11月に入ってから曇りや雨の日が多かったのですが、この日はスッキリと晴れ、気温も20度近くあったので、気持ちの良いツーリングだったのだと想像できます。

N様、写真ありがとうございました。せっかくなので、また紹介させていただきました

2014年11月20日 (木)

通販の激安自転車

『通販の自転車ってどう思いますか?』という相談を受けました。

以前、少しだけ通販の自転車について話題にしたことがありますが、まぁ、僕の回答は『悪いこと言わないから止めた方が良い』ですね。

仕事柄、通販で買った自転車も修理しますが、自転車としてまともだった物は一度も見たことがないです。

パーツも劣悪、組み立てもめちゃくちゃ、調整でどうにかなるレベルじゃありません。かろうじて自転車の形をしているだけです。

自転車自体はこんな感じですが、それよりも一番問題なのは買った後ですね。

自転車が壊れたらどうするの?

自転車って壊れる乗り物ですよ。どんなに大事に乗っていても、絶対に壊れます。タイヤとかブレーキ部品は消耗品ですからいずれ交換が必要になります。

思い違いをしていらっしゃる方がたまにいますが、保証期間というものは販売したお店が請け負う物です。修理してもらうために、販売店とは関係のないお店に見てもらって、保証期間内だから無料で直るかというと、当然無料にはなりません。

壊れたらどうなるのか、直してくれるのか? 保証期間内の修理はどうなるのか? もし購入するつもりなら、販売サイトのアフターサービスの項目を必ずチェックしてください。書いてなかったら直接連絡して訊いてみることをオススメします。

よく読むと修理に関してはろくなことが書かれていません。近所のお店で修理してもらえとか平気で書いてあったりします。

もし、納得のいくまともな回答だったなら、あとはそれを信じるかどうかですね。

ちなみに僕のような修理専門店だったり、ホームセンター等のチェーン店なら修理してくれると思いますが、個人でやっている自転車屋さんだと断られる確率がかなり高いです。

また一部には、意味の判らない部品使ってるせいで、専用部品が必要になるケースがあります。部品が注文できないか販売メーカーに問い合わせたら、在庫切れという返事。入荷したらサイト上で案内するそうですが、かれこれ5ヶ月音沙汰なし。――なんてこともあるかもしれませんよ。

とまぁ、こんな感じですが、それでも良いのなら購入を検討してみるのも……どうなんだろうなぁ。やっぱりオススメは怖くて出来ないよ。

2014年11月18日 (火)

修理費用

お客様から電話を受けた時、『修理はいくらかかりますか?』とたまに訊かれることがあります。

この質問はお客様にとっては当然気になる事で、訊く権利もあると思います。

ただ申し訳ありません。この質問には、殆どの場合『判りません』という答えになってしまいます。

これでは語弊がありますね。正確には『実際に見て触って、状態を見てみないと判りません』というのが返答になります。

そのため電話口では、実際に見てみないと判らないと念押しをして、ものすごいアバウトな費用を伝えることにしています。

実際の所、ただのパンク修理だとしても修理費用の幅はかなり大きいです。

パンクの原因がチューブの穴だけなら穴を塞ぐだけの最安の料金ですが、チューブがダメになっていたら、タイヤにも大きな穴が開いていたら、それはタイヤ・チューブの交換になるので料金が高くなります。大体1,000~5,000円ぐらいの幅があると思います。

パンクの修理してもらったら、ものすごく高かったという話を耳にしたことがあります。その方は怒り心頭のようでしたが、僕ら自転車屋からしたら修理料金で大体の作業状況が把握できるので、普通の金額だよなと思うこともあります。

費用に関しては、修理にはパンク修理だけではなく、なにがしかのプラスαが必要になり、高額になったのでしょう。ここで問題なのは、お客様に一言の断りもなく、説明も無しに修理したことです。

修理する前に、お客様に丁寧に説明してあげていれば問題にはならなかった。ほとんどの方が納得してくれると思います。完全に自分の首を絞めています。見積もりというものを軽視しすぎでしょう。

当店では、修理費用が高額になる場合には修理する前に必ず費用を大まかにでも伝えるようにしています。黙って修理はいたしませんし、見積もりの段階であれば出張費だけはいただきますが、断っていただいても構いません。

ただし、修理が絶対必要な個所を修理せず、とにかく走れるようにしろという修理はこちらからお断りしています。

このような事情もあるため、修理費用のトラブルを避けるためにも、本当に申し訳ありませんが電話口では絶対に正確な費用はお伝えできません。どうかご理解ください。

2014年10月31日 (金)

タイヤ選び

自転車の交換用タイヤをオススメする基準は、通学・通勤用のママチャリタイプの自転車なら、一にも二にも耐久性を重視しています。

耐久性が上がるに比例して値段も上がるので、お客様に使用状況をお尋ねしてオススメするタイヤを決めています。

そのタイヤの中でも、交換することで劇的に変化するのはマウンテンバイクのタイヤだと思います。

タイヤを太くも出来るし、細くも出来る。

デフォルトのゴツゴツしたブロックタイヤから、ゴツゴツした突起物の無いスマートなスリックタイヤ。両方の特性を併せ持つセミスリックタイヤなど選択肢が色々あります。

現在、マウンテンバイクを通勤・通学や日常用に使っていて、舗装された道路しか走らないという方は、デフォルトの太めのブロックタイヤから、細身のスリックタイヤに交換してみるのをオススメします。

マウンテンバイクに初めから付いているタイヤは、本来、未舗装の山道やダートを走るのに適したタイヤなので、舗装された道路では性能を発揮できません。

舗装された道路に適しているのは、突起物のないスリックタイヤです。コレに変えることで、クッション性は下がりますが、走行性やスピード感が見違えるように変化しますよ。本当にオススメです。

タイヤを交換する時期になったら、ぜひ選択肢に入れてみてください。

――と言うようなことを、マウンテンバイクもしくは類似車のタイヤ交換を希望されるお客様に電話口で説明すると、『考えてみます』的な返事で、それっきり電話がかかってこない割合が多かったりします。

なんでだろ? 不思議です。非常に残念です。ビックリするぐらい変わるのにな……。

2014年10月 8日 (水)

運転しやすい姿勢

高岡市駅南で、夜間作業をしてきました。

ちょうど月食が始まった時間帯だったので、空を見上げながらの作業でした。

雲に隠れて見えにくかったですが、時々雲が晴れて赤銅色の満月を見ることができました。

皆さんは御覧になれましたか?

では、本題に入ります。

修理依頼のパンク修理はさくっと終わらせて、いつも通りおかしい所がないか最終確認のため試乗すると、サドルはかなり高くしてあるのに、ハンドルがすごく低いのに気が付きました。乗車時の姿勢がかなり前傾姿勢になってしまいとても窮屈です。

スポーツタイプはサドルを高くしてハンドルを低くするのは、速く走るために必要ですが、ママチャリタイプの自転車ではただただ運転しずらいだけです。

なので、ハンドルを上げてあげることにしました。

Befoer

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After

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10cm以上ハンドルが高くなりました。試乗してみると上半身が起き上がるため、姿勢がとても楽になります。

お客様にも乗っていただき感想を聞いたところ、やはりハンドルを上げた方が運転しやすいそうです。良かった。

サドルはお客様自身で高さを調整出来ますが、ハンドルの高さを調整するには専用の工具が必要になります。

この自転車の持ち主は中学生です。持ち主が成長するにしたがってサドルの高さを変えていったんでしょうが、ハンドルの高さは変えられなかったので、今回のようなアンバランスなポジションになったのでしょう。

成長期のお子さんの自転車は、時々、体の成長に合わせて調整してあげると、びっくりするほど乗りやすくなりますよ。

人の体は成長できますが、自転車は自分では成長できません。

乗りにくくなったなと感じたら、自転車と一緒に自転車屋さんに行ってください。

自転車が成長しますよ。

2014/10/10追記

肝心なのは、持ち主が自転車と一緒に行くということです。

お父さん、お母さんが持って行っても、乗る本人がお店に来ないとちゃんとした調整は絶対にできませんよ。

恥ずかしがらず、面倒くさがらず、自転車屋さんにお願いしてみましょう。

 

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